印材について

職人の確かな目利きで厳選


様々な用途で使われる印鑑だからこそ、印鑑の素材となる「印材」にも多様な選択肢があります。
必ずしも、どんなシーンでも高価な印材が良い、というわけではありません。印鑑の種類や利用シーンを考え、それぞれの印材の持つ性質や特徴を活かしたご提案をさせていただきます。
普段、他人の印鑑や印材を頻繁に目にする方は、一部に限られていると思います。ひと目見ただけで、それが質のよいものなのか、粗悪なものなのかを見極めるのは困難ですが、吉祥堂で使われる材料は、すべて職人が目利きで選び、自信をもってお勧めできるものを厳選しています。
質の高さは、見た目の美しさはもちろん、耐久性や朱肉の馴染み具合などに影響します。また、高品質な印材は、種類を問わず彫刻しやすいものです。刻りやすさは私たち印章店側の都合に見えるかもしれませんが、結果的に、より美しく印影を刻ることができるというメリットが、印鑑の良し悪しに影響をあたえることになります。

代表的な素材

象牙

適度に吸湿性があって手になじみやすく材質が硬く・密な仕事に適しており、加工性も優れています。朱肉の馴染みもきわめてよく、高級感があり契約や公式書類では欠かせません。
印材としての象牙でも部位によってランクがあり、安価なものは表面近くの筋が多く入っており、先端の中心に位置するほど貴重な物とされます。水生地と呼ばれる極上品は、年々入手困難になっています。
吉祥堂は、特定国際種事業者(象牙・タイマイ等を取り扱う事業者)として登録しており、ワシントン条約に基づいた正規輸入品のみを扱っています。

水牛

100%「芯持ち」と呼ばれる(中心近くに小さな芯がある)最上品を使用しています。先にいくほど繊維が詰まっており、先端でも最上質の部分を「一本取り」します。
丁寧に吟味した素材を、黒水牛は更に2年以上寝かせてから使います。動物から採取した素材で収縮するためです。その間、乾燥しすぎて割れないよう、また虫が来ないように商品管理の徹底が必要です。実際に刃を入れる私たちには、粘りや心地よさ、匂いで本物かどうかはすぐに解ります。

黒水牛

漆黒の美しい印材。東南アジアに生息する水牛の角。よく目にするものは黒く染められており、それが一般的ですが、当店では染めていない「黒無垢材」も扱っています。いずれも、朱肉とのコントラストも美しく耐久性にも優れています。

牛角・白 / 牛角・色(オランダ水牛)

茶色や黒の天然の模様があるものや、飴色をした上品な印材です。適度な硬さと粘りがあり、捺印性にも優れています。

植物性の素材で手になじみやすく植物系の印材としてはもっとも繊維が緻密で、硬度も粘りもあって彫刻に適しています。当店では国内産、薩摩本柘のみを使用しています。
一言で柘といっても、縞柘植、アカネなど様々な種類がありますが、粗悪な品質のものは経年変化で崩れてしまう恐れがあります。本柘は年輪が密で、太閤秀吉が入れ歯にしたという逸話もあるほど丈夫で、安心してお使いいただけます。

その他印材

最近では様々な印材が増えてきました。アクリル、チタン等、見た目も美しく、プレゼントにしても喜ばれる一品です。
アクリルは、従来の素材と同じ刻り方ができるため、一つひとつ手作業でお作りしています。
水晶や大理石などもご希望があればお作りできますが、割れてしまう危険性がありますのであまり扱っておらず、その点をご理解頂いた方にのみご対応いたしております。